公開日:2023/11/20
カテゴリー:売る時の知識
土地や中古戸建の売却を不動産業者に相談すると、8割くらいの確率で確定測量をして欲しいとお願いされるのですが、お客様の立場からすると、隣との塀もちゃんとあるし、お金もかかる測量を行わないといけない理由がわかりませんよね。
いくつかの理由がありますのでご説明にお付き合いください。
その1、契約書に書かれているから。
(測量図の引渡し及び境界の明示)
第3条 売主は、その責任と負担において、隣地所有者等の立会いを得て、土地家屋調査士等の有資格者に本物件について測量させ、標記(A)記載の測量図を本物件引渡しのときまでに買主に交付する。
2 売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、前項の測量図に基づく隣地との境界を現地において明示する。
※弊社では、ハトマーク宅建協会の指定契約書面を使っていますが、他社の契約書面は文言などが異なる場合もございます。
上記の赤い条文のように契約書面に記載があるのです。
※特約で確定測量を行わないという内容で買主と相談の上、決める事も出来ます。
その2、お隣との境界トラブルは裁判等に発展する場合もあるから。
不動産の取引で、裁判になるケースは様々ありますが、隣地との境界のトラブルは多いです。
測量を行わずに、新しい買主に引渡して、隣地の方が、新しくお住まいになった住民に、境界の位置が違うなどと言われたら、契約不適合責任となります。
また、隣地の木や枝、エアコン、軒が境界を越境している場合もありえるので、現所有者様の責任と費用負担において、測量を行うのが一般的な取引のルールとなっております。
その3、確定測量が終わっていないと分筆登記が出来ない。
不動産の分筆、一つの土地を複数の土地に分ける行為をいうのですが、これは不動産業業者が買主となる場合に絶対条件だと言われます。それは、隣地との境界が確定していないと分筆が出来ないとなっているからです。
買ったはいいけど、隣が確定測量の協力をしないなどの問題が起きると建売などのプロジェクトを行えなくなるほか、広い土地を分けて売る事も出来なくなると商売として成り立ちません。
その4、過去に測量した測量図があるが古すぎる
法務局で物件の測量図を取得すると、昭和の時代に測量されている測量図が保存されている場合もあります。しかし、令和に入って平成の書類ですら、既に30年以上月日が経過しており、測量精度そのものが正しいというには難しい為、新たに測量をお願いしている訳です。
※現在はGPSを使った座標値となっています。平成5年10月~座標値となりました。その精度を高めるための改正がありました。
平成17年3月7日以降の場合で法務局に備え付けられた測量図の場合は問題なく、その日よりも前に購入なさっている不動産の場合は測量図があっても再測量して下さいという流れになると言えます。
※不動産業者買取の場合、平成5年10月の座標値になる前の測量図では再測量を要求されます。
代表的な例をお出ししました。
他にも測量を行って頂く理由はありますが、上記に示したようなケースが一般的です。
気を付けてもらいたいのは、隣地との境界確定の為の測量は、土地家屋調査士の仕事です。
測量士ではありません。
一般の方で土地家屋調査士に知り合いがいると言う方は少ないので弊社にてご紹介しています。
測量は絶対ではありませんが、やっておいたほうが、売却後も安心です。測量を行わない場合は、そのリスク分を物件価格で値下げして欲しいと言われます。